総務省は「太陽フレア」と呼ばれる、太陽表面の爆発現象が活発になった場合、最悪、携帯電話が2週間にわたって、断続的に利用できなくなるなど、被害想定の報告書をまとめました。
私たちにどんな影響があるのでしょうか?
太陽フレアとは?
太陽にある黒点(黒い点)には、エネルギーが溜まっており、ここで爆発が生じると「太陽フレア」という光やガスを発生させます。
「太陽フレア(黒点の爆発)」が地球の方で発生すると、磁気が乱れ、私たちの生活に大きな影響を与えます。
太陽には活動の周期があり、11年周期での表面が活発になり、それが起きるのが、3年後の2025年ごろです。
前回は2014年に太陽が活発になっており、次の2025年は、100年に1度の爆発現象が起こる可能性が示唆されています。
太陽フレアによって、地球上の磁気が乱れることで、最悪の場合、携帯電話やテレビなどの放送が2週間、断続的(途切れ途切れ)に利用できなくなったり、視聴できなくなったりする恐れがあると言われています。
スマートフォンを常に使用する私たちにとって、デジタル機器が使えなくなるということは大問題でしょう。
太陽からは、携帯電話と同じ周波数の電波が出ているため、それが被ってしまうと、スマートフォンが使えなくなります。
使えない時は、場所を移動してみたりすると、使える可能性もあるそうです。
また、夜は太陽が沈むため、スマートフォンは使用可能です。
フレアが届く期間
太陽フレアが発生して、地球に届くまでどのくらいの時間がかかるのでしょうか?
◉高エネルギー粒子
30~2日後に届き、人工衛星故障、宇宙・上空の被ばくが増す
◉フレアX線放射線
8分後に届き、通信障害や測位精度低下が起きる
◉太陽風じょう乱(コロナガス)
2~3日後に届き、衛星軌道が変動し、停電が起こる
磁気の乱れの影響
磁気が乱れると、GPS衛星の精度に誤差が生じ、数十メートルもズレる可能性があるため、飛行機や船の運航ができなくなります。
ドローンの衝突事故が起きたり、スマホの位置情報、カーナビも使えなくなります。
そして、飛行機の場合は、空気の薄い所を飛ぶので、影響はGPSだけでなく、太陽光線の被ばくを大きく受けるため、より運航するのは厳しくなるでしょう。
さらに、対策を講じていない、電力設備では誤作動が起き、広域停電が発生する恐れもあるとしています。
総務省の報告では、社会的にどのような影響があるかを知らせる予報や警報を導入することや、通信などの分野では影響を受けやすい周波数を避け、有線通信などの代替手段を確保することなどを提言しています。
太陽フレアの影響を調べている「NICT=情報通信研究機構」の石井守センター長は「産業界にはこのようなシナリオがあることを理解してもらい、少しずつインフラを整備していってほしい」と話しています。
太陽フレアが来る前に?
太陽の活動を観察する「NICT=情報通信研究機構」では、太陽フレアが起れば、即座にメールなどの連絡を取る手段ができているため、通信障害が生じる前に私たちは知ることができます。
宇宙天気の確認
宇宙天気の悪化により、雨や雪が降るなんてことはありませんが、それに似たような現象により、私たちの生活に大きな影響を与えています。
大きな太陽フレアが起こるとデリンジャー現象(通信障害)が発生しします。
それにより、 短波通信(一部の国内通信、アマチュア無線など)ができなくなったり、ラジオ放送が聞こえなくなることがあります。
地磁気嵐やオーロラ嵐による地磁気変動は、電力網に影響を及ぼすことがあります。
地磁気が大きく変化すると、地磁気誘導電流により、発電所の変圧器の過熱や、保護リレーの誤動作などが発生することが知られています。
≪参考文献≫
国立研究開発法人 情報通信研究機構ー宇宙天気予報センター『宇宙天気とは』
国立研究開発法人 情報通信研究機構ー宇宙天気予報センター『短波通信の障害』
本日の宇宙天気予報
オーロラは磁気が乱れているときに発生しています。
「NICT=情報通信研究機構」のホームページより、本日の宇宙天気を確認することができます。
デリンジャー現象は太陽が活発になることで起こる通信障害です。
宇宙天気予報で、デリンジャー現象のレベルが高くなると、通信障害が起きやすくなっています。