骨髄移植前には、放射線治療をします。
放射線治療は最も強い、ガンの治療になります。
放射線というと、怖い印象を持っている方も多いでしょう。
放射線治療以外にも、私たちは食物など、自然からも被ばくしていて、生きていれば、常に少しづつ被ばくをしています。
放射線といってイメージしやすいのは、レントゲンや、原子力発電所などではないでしょうか?
今回は自然被ばくと、医療被ばく(放射線治療)の違いを分かりやすくご紹介していきます
「放射線・被ばく」とは?
人の体は、細胞で構成されています。
この細胞に放射線が当たると、一部が壊れてしまいます。
放射線以外にも、たばこ・化学物質・活性酸素などによって細胞が傷つきます。
細胞には、修復する機能があるため、少しの傷であれば修復が可能です。
しかし、傷が多ければ修復できずに、細胞が死んでしまいます。
そして、修復が完全ではない細胞が生き続けた場合、細胞分裂で増殖し、「がん」などの病気を発症する可能性があります。
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放射線の単位
- ベクレル … 物質が放射線を出す、強さの単位
- シーベルト … 放射線による、人体の影響を表す単位
- グレイ … 放射線のエネルギーが、どれだけ吸収されたかを表す単位
1シーベルト=1,000ミリシーベルト
1グレイ=1シーベルト
ベクレル(Bq)シーベルト(Sv)グレイ(Gy)
さらに詳しく → 「放射線の単位」
放射線の被ばく「何で起きる?」
胸のレントゲンを3回撮ったら、日本人の1年分の被ばく量に達します。
日本では土地(自然)に含まれる、放射性物質が世界的に少ないため、日本人の被ばくの一番の原因は「医療被ばく」になります。
1年間で被ばくする量の世界平均は、約2.4ミリシーベルトと言われています。
日本の1年間での被ばく平均は、約2.1ミリシーベルトです。
ちなみに、国際宇宙ステーション(ISS)での1日の被ばく線量は、世界平均被ばく量の約半年分(1日当たり0.5~1ミリシーベルト)ほどです。→さらに詳しく
人体への健康への影響が確認されている、被ばく線量は100ミリシーベルト以上と考えられています。
放射線の人体への影響
放射線の健康への影響についての考え方は、広島と長崎の調査が基礎となっているそうです。
放射線を1,000ミリシーベルト受けると、「脱毛・白内障・がん」のリスクが高まります
放射線の致死量
骨髄移植前の放射線治療
骨髄移植で放射線を当てる理由
移植前に放射線治療を行うのは、がん細胞を消滅させるのと、移植された骨髄を体に定着させるためです。
ただし、ほとんど分裂を行っていない造血支持細胞は大きな影響は受けません。
そして、正常な骨髄を移植して、今までとは違う、血液を作るようになるのです。
骨髄移植が必要な病気
- 白血病
- 骨髄異形成症候群(MDS)
- その他の腫瘍性疾患
- 再生不良性貧血
- 先天性免疫不全症
- 先天性代謝異常疾患
- その他の疾患
私の場合「白血病」
私は「白血病」になり治療のために、骨髄移植をしました。(白血病の種類、病状によっては移植の必要はありません。)
移植前処置として、放射線治療をしました。
放射線治療の前は約4カ月ほど抗がん剤を投与し、白血病細胞を無くすための治療をしています。
白血病の治療で一番辛かったのは、やはり放射線治療です。
あまりに辛かったため、こんなに辛いと分かっていたなら、移植はしたくなかったと思ったほどです。
しかし、放射線治療中は、少しづつ具合が悪くなるものの、まだ耐えれるほどだったので、治療を辞めようと思うことはありませんでした。
放射線治療が終わり、とどめの抗がん剤治療で、この場から逃げ出したいと思いました。
体へのダメージが極限状態になり、辛くて死んでしまいたいと思うほどでした。
放射線治療前に戻りたいと思っても、戻ることはできません。
後は「骨髄移植」をして、体の回復を待つしかありませんでした。
放射線治療の流れ
放射線治療は、最大で1日2回、3日間
個人の体力や、病状によって回数は異なるようです。
この治療で、どれくらいの放射線が照射されるのか?
治療は3日間の合計で、12グレイ(12,000ミリグレイ)を全身に照射します。
放射線の影響を受けやすい臓器
放射線治療の機械
放射線の全身照射をするのは、下の機械です。
全身に放射線を当てる場合、放射線が当たってはいけない臓器があるので、体を固定します。
固定するためのベットが、下の写真です。
ベットに透明の枠をつけて、体が動かないように、ビーズ入りの袋を敷き詰めてから、放射線を体に照射します。
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骨髄移植前の放射線治療は、体に大きなダメージを与えます。
しかし、現代の医療体制によって、体を回復させてくれます。