今回は美容や健康でよく耳にする、「酸化」・「糖化」について解説していきます。
これらが体に起こると、お顔にハリがなくなり、シワシワになったり、動脈硬化や血管のつまりが起きて脳卒中などの病気になる可能性があります。
他にも様々な害があるので、原因や対策などをご紹介します。
酸化と糖化
酸化…体のサビつき
糖化…体の焦げつき
このように言われており、どちらも細胞機能を低下させ老化の原因となります。
釘を放置するとサビてくる現象が「酸化」で、食パンをこんがり焼いた状態を「糖化」、このようなイメージです。
そして、タンパク質と遺伝子の劣化は「酸化」と「糖化」によっって、さらに加速します。
酸化について
感染症やガンなどの多くの病気は「酸化促進物質」で引き起こされます。
◉「酸化」とは?
- 物質から電子を奪うこと
- 酸素が結び付くこと
- 水素を奪うこと
私たちは呼吸により、体内に酸素を取込み、エネルギーを作り出しています。
しかし、取込んだ酸素の全てを消費できず2~3%は、余分なものとして残り「フリーラジカル・活性酸素」に変化してしまうのです。
「フリーラジカル・活性酸素」が体内に生じた状態を体の酸化といいます。
酸化は老化を促進したり、ガン・糖尿病・動脈硬化などの生活習慣病の原因となります。
老化の促進や病気を予防するためには、「抗酸化物質」を摂取することで、抑制できると言われています。
※フリーラジカルと活性酸素は厳密には少し違い、活性酸素の中には不対電子を持つものと持たないものがあります。
フリーラジカルは、「ペアにならない電子(不対電子)を持つ原子や分子」と定義されます。
不対電子はペアになりたがるので、フリーラジカルは一般には不安定で、反応性が高い状態です。
「フリーラジカル」と「活性酸素」とは定義上、別物ですが、実際には活性酸素の一部のものはフリーラジカルであり、フリーラジカルの一部のものは活性酸素です。
酸化の原因
体の「酸化」は呼吸以外でも起きますが、紫外線・一部の食べ物・ストレス・タバコ・大気汚染物質・過剰なアルコール摂取・過激な運動・睡眠不足などが要因としてあげられます。
紫外線にあたると皮膚に活性酸素が大量発生します。それが原因で、タンパク質分解酵素が活性化され、肌繊維が破壊され、シミやシワなど皮膚や見た目の老化に影響を及ぼします。
食品添加物・脂質(揚げ物、揚げ菓子など)の摂りすぎは酸化を促進させる。
不安・緊張状態・イライラなどのストレスは、血行障害を起こし、酸素の循環が滞ることで活性酸素を発生させます。
タバコの煙は抗酸化物質であるビタミンCを破壊します。
過剰にアルコールを摂取すると、全てを分解できなくなるため、活性酸素が発生します。
自動車・工場・火力発電所などから排出されるガスは、大気を汚染し、地球環境や健康へ害をもたらします。
人は起きている時にエネルギーを必要とするため、活性酸素を多く作り出します。そのため睡眠で体を休ませることは必要であり、また、睡眠不足でストレスが増えると活性酸素が多く作られます。
運動は血流や呼吸が増え、体内に多くの酸素を取込みます。そのため、激しい運動は活性酸素を増加させます。しかし、軽い運動はストレスの解消になり、活性酸素を抑制効果があります。
糖化について
糖化とは、余分な糖とタンパク質が体内で結びついた状態です。
そして、タンパク質にたくさん結合した糖を「AGEs(終末糖化産物)」といいます。
糖尿病患者は血糖値が常に上がった状態であるために、心臓病・がん・歯周病にかかりやすく、健康寿命が短い傾向があります。
血糖値を一時的に下げても、血管合併症の進行が抑えられず、過去の高血糖が影響し、「AGEs(終末糖化産物)」がたまり、臓器障害が進行することも分かっています。
健常者の場合、AGEは時間とともに、ゆっくり上昇していきますが、糖尿病患者では血糖値の上昇が原因でAGEの蓄積が早いのです。
AGEは数種類あり、すべてが悪い物質というわけではありませんが、一般的にタンパク質の劣化・機能低下につながります。
例えばコラーゲンは細胞の接着剤、組織のクッションとして働きますが、AGE化されるとコラーゲンの本来のしなやかさが失われ動脈硬化、骨粗鬆症、変形性関節炎に繋がります。
つまり、体の糖化、AGEが溜まることは、多くの疾患に繋がるのです。
糖化を抑えるには
糖化を抑えるには、糖質制限が有効的です。
しかし、炭水化物・糖は体のエネルギーとなるため、無理な制限は体のバランスを崩す可能性があります。
「AGEs(終末糖化産物)」を溜めないようにするには、「ジュース・甘いお菓子」などは特に控えましょう。
ジュースの中でも炭酸入りは、喉ごしが良く一気に飲めるため、血糖値を上げる可能性があり注意が必要です。
また、焦げも糖化の原因となるため、焼き料理・揚げ物は避けた方がいいでしょう。
食後の血糖値を抑える
- 野菜など食物繊維の多いものから食べる
- 低GI食品を取り入れる
- 食事直後に軽い運動を行う
GIとは、Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指標のことです。
食品ごとにGI値が定められ、GI値が低い食品は血糖値の上昇を穏やかにします。
AGE検査
AGEの一部は紫外線照射により蛍光を発生します。
これのやり方で医療機関では、皮膚組織に溜まっているAGE量を推定することができます。(一部の病院で検査が行えます。)
≪参考文献≫
老化を促進する酸化とは「佐賀県 城内病院」
e-ヘルスネット「厚生労働省」