夏になるとエアコン(冷房)を使う機会が多くなるので、車の燃費が気になる人も多いでしょう。
さらに、今年はガソリン価格が急騰しているので、車に乗る者にとっては死活問題です。
そこで今回は「燃費を抑えたエアコンの使い方」について解説していきます。
解説するにあたって、車メーカー数社に「エアコンと燃費」について尋ねましたので、その内容をお伝えしたいと思います。
「冷房25℃」設定は間違い
◉ネット上のデマ
ネットでは間違った情報も多く見かけます。
- 国産車の燃費向上には、エアコンの温度25℃設定がベストで、外国産は22℃。
- 車のエアコン(冷房)は、いったん0℃近くまで冷やされる。
これらは間違いだらけの情報です。
燃費を考えたエアコンの使い方をするなら、外気温との差を少なくした温度設定をすることです。
これは冷房も暖房(暖房にACを使った場合)も同じです。
夏の外気温が33℃だとして、冷房を使う場合は、20℃よりも27℃にした方が燃費を抑えることができます。
そして、温度設定を高くするだけでなく、風量を強めに使用することも、低燃費には重要な要素です。
風が強いと、体感温度が少し下がるため、温度を少し高めに設定することができるます。
◉冬のエアコン
冬の暖房は車の熱を利用しており、エアコン(AC)を使っていないので、エンジンへの負担は小さくすみます。
ただし、車内が結露すると、湿度をとるためにエアコン(AC)を使わなければいけません。
その場合は、車の熱を利用した温風を車内に送り、そこから湿度をとるために、車内の温かい空気を少し冷やして湿度を取り除いてから、温まった空気と混ぜて送り出しています。
冷やすして、湿度を取り除ける仕組みは「絶対湿度」が関係しています。
空気の温度が高ければ、多くの水分を含むことができますが、空気が冷えると、含んでいた水分を保つことができなくなります。
これは、夏に冷たい麦茶を注いだ、コップの水滴と同じ原理です。
冬に暖房を入れ、エアコンのスイッチを入れると、少し温度が下がったように感じるのは、一度冷やされるからなんです。
家庭用と同じ
「エアコンと燃費」について、正しい情報を知るために、車メーカー数社に電話をしました。
車メーカーでは「冷房と燃費についての実験はしていない」ため、数字などのデータはありませんでした。
そんな中、トヨタの技術者から、とても参考になる情報を教えてもらいました。
”車のエアコンの仕組みは「家庭用のエアコン」と同じようなもの。
家庭用のエアコンは外気温との差が少ない温度設定で使った方が、電気代を抑えることができ、車も同じ。”
家庭用のエアコンは室外機に、直射日光が当たると、周りの空気が熱くなり、その空気を利用して、冷たい空気を作るため電気代は高くなります。
そのため、節電対策として「室外機カバー」が使われることがあります。
◉車エアコン室外機
車の場合は、エアコンの室外機の役目として、コンデンサー(熱交換器)や電動ファンが設置されています。
車が信号で止まった時に、冷房の風が温かく感じることはありませんか?
それは、コンデンサー周りに、熱気が溜まることで、冷却が間に合わなくなっているからです。
しかし、走りだすと、エアコンの効きが良くなりますが、その理由は、風でコンデンサー周りの空気が冷やされ、熱交換がスムーズに行われるからなんです。
冷房の仕組み
エアコンの冷房はどのような仕組みなのでしょうか?
「気化熱」が関わっています。
たとえば、注射のときアルコール綿で、腕を拭くと冷っとしますが、あれはアルコールが蒸発するときに、体の熱を奪っているからです。
液体が気体になるときには、周囲から熱を奪いますが、逆に気体が液体になるときには、周囲に熱を放出します。
冷媒として使われているフロンは常温では気体ですが、圧力をかけると液体になり、圧力を下げると気体に戻ります。
圧力をかけると、熱が発生するのは、「圧力なべ調理」に使われる原理です。
圧力なべは、圧力をかけることで、高温調理ができ、短時間で料理が完成します。
エアコンの室内機と室外機をつなぐパイプの中を回っている冷媒(フロン)は、冷房時には室外機で「気体→液体」となって外の空気の冷気をもらいます。
冷気をもらった冷媒は、室内機に移動して「液体→気体」となって、冷気を部屋の中に送ります。
暖房はその逆の動きをしています。
車のエアコンの仕組み
車のエアコン(冷房)の仕組みは、家庭用のエアコンとほぼ同じです。
車のエアコンの冷媒となる「フロンガス」をコンプレッサー(圧縮機)で液体にし、コンデンサー(熱交換器)で冷やして気体に戻します。
気体に戻る時に、周りを冷やします。
車用のコンデンサーは、家庭用エアコンでいうと室外機になります。
家庭用エアコンの名前に置き換えると、車のエアコンも分かりやすくなるので、以下の表を確認してください。
エアコンの装置 | 車 | 家庭用 |
圧縮器 | コンプレッサー | コンプレッサー |
減圧器 | エキスパンションバルブ | 膨張弁または減圧弁 |
熱交換器(内) | エバポレーター | 熱交換器(室内機) |
熱交換器(外) | コンデンサー | 熱交換器(室外機) |
冷房29℃設定
燃費を抑えて運転するために、「温度差を小さく設定することが良い」とお話してきましたが、温度設定は同のようにすればいいのか、迷う方もいるでしょう。
実は、設定温度が29℃でも、冷房としてしっかり機能します。
だだし、それには条件があります。
- 外気温28℃、設定温度29℃だと、生温かい風が出る。
- 外気温31℃なら、設定温度29℃で冷たい風が出る。
このように、エアコンの設定温度が外気温よりも高い場合は、冷房として機能しませんが、低い場合はしっかりと冷たい風が出ます。
快適な車内と低燃費を実現するために、設定何℃なら涼しいと感じられるのかを、今一度確かめてみてください。
まずは、風量を強めに設定にして、そこから設定温度を低くし過ぎないようにすれば、今までよりも燃費は向上するはずです。
低燃費ボタン
私はホンダのN-Boxに乗っています。
「エアコンの燃費を考えた使用方法」についてホンダの方に伺うと、以下のような回答でした。
「エアコンの温度設定は、快適な温度設定にして、ECON(イーコン)をONの状態で走行すると、車に負担がかからず、環境に配慮した運転ができます。」
このように、答えられたのですが、私は少し異議があります。
ホンダのN-Boxは、エンジンをかけると、ECONがONの状態になります。
購入時はONの状態で運転していましたが、燃費がすぐれなかったため、OFFにしてみたところ、以前よりも燃費が向上しました。
これは私の見解ですが、ECONがONの状態だと、アイドリングストップするため、信号のたびにエンジンが切れたり、かかったりして、それが燃費を悪化させるのではないか?と思っています。
OFFの状態で運転すると、良い時でリッター19kmほど走行できます。(エアコン不使用時)
エアコンを入れた状態で、ECONをONにして運転したことがないので、今後はONにして燃費をみてみようと思います。
車の暑さ対策グッズ
車の暑さ対策として、サンシェードがおすすめです。
フロントガラスは大きく、そこから侵入する強い光を遮断するだけでも、車内の温度は大きく違います。
こちらのサンシェードは、折り畳み傘の様な構造で、コンパクトに折りたたみができます。
さらに、窓にしっかり密着できるので、熱を遮断しやすくなります。
窓の設置面にはシルバーチタンが使われており、明るい色で光を反射する効果がありますが、外からギラギラすることもありません。
暑い日に車に乗って冷房を付けると、温風が出るということはあありませんか?
車のエアコン室外器は、フロント部分に設置されています。
乗った時に、すぐにエアコンを効きを良くしたかったり、燃費を考えるなら、「フロントカバー」がおすすめです。
カバーをすることでフロントに熱がこもりにくくなります。
冬の場合も霜や雪が付くのを防止できるため、暖房の効きを早めることができます。
車によって、フロントカバーのサイズが違うため、購入の際はサイズを確認してください。
ちなみに、私は一度、全体の車カバーを使ったことがありましたが、全体のカバーは被せるのに手間がかかるため、あまりおすすめできません。