化粧水は「肌の奥まで浸透」しません!
化粧水の効能として、ヒアルロン酸・コラーゲン・ビタミンCを「角質深く浸透」などとのうたい文句がありますが、この言葉にはカラクリがあります。
肌の奥まで浸透
化粧品のCMなどで聞く「肌の奥まで浸透する」の「奥」とは、どこだと思いますか?
答えは「角質層(角層)」です。
角質層まで化粧水が浸透すれば、プルプルのお肌をイメージすると思いますが、角質層がどれくらい「奥」にあると思いますか?
実は、肌の一番外側にあるのが、角質層(角層)なんです。
角質層は肌表面の厚さ0.01~0.03ミリの部分を指します。
死んだ細胞
角質層は新陳代謝によって、外に押し出された「死んだ細胞」です。
私たちは死んだ細胞の表面を、潤おわせているだけだったんです。
皮膚は、真皮と表皮からなりたっており、表皮は肌表面の厚さ約0.2ミリほどです。
この角質層は、表皮の一番下の層(基底層)が、絶えず細胞分裂し、上に押し上げられた「死んだ細胞」から作られています。
つまり、肌とは死んだ細胞でおおわれているということなんです。
上の図を見ると、角質層の下にある層には細胞核の点が見えますが、角質層にはありません。
細胞は死んでいるので、血液中から栄養が補給されることもないのです。
化粧水などの薬物が浸透するのは、この死んだ細胞である「角質層」までなんです。
その下で細胞分裂している肌の「奥」に、届くことはありません。
また、角質層はいちばん外側にあるので、見た目の美しさを左右します。
それゆえ、この角質層を一生懸命ケアしようとするわけですが、角質層はそもそも、しばらくすれば垢となって剥がれる運命です。
実は、化粧品の管理をおこなっている「薬事法」という法律でも、化粧品が角質層(=角層)よりも奥まで浸透するという広告は禁じられています。
角質層の役割
角質層のさらに奥まで届くものは、特殊な医療技術を用いない限りありません。
その理由は皮膚の機能にあります。
肌の役割は体を守ることで、異物が体内に侵入するのを防ぐ「バリア」の役割を果たしています。
バリア機能が細胞・血管・神経を守っているのです。
全身の約16%の皮膚にやけどを負うと、致命的だといわれます。
そして、皮膚はの臓器のひとつでもありり、体重の約30%を占めています。
肌の持っている4つの役割
外の世界に直接触れる臓器ですから、さまざまな役割を持っています。
- 水分の蒸発・侵入を防ぐ
- 体温を調節する
- 微生物・刺激から体を守る
- 感覚器の役割
この機能は生命を維持するために必要機能です。
また、「からだを防御する」機能として、最表面にある角質層がもっとも重要な役割を果たしています。
角質層の厚さは約0.02mmしかありませんが、通常は同じ厚さのプラスチック膜と同じくらい、水分を通しません。
仮に、角質層のバリア機能が失われると、全身が危険が及ぶ可能性がありるのです。
例えば、お肉の切り身のように、下味を浸み込ませるようなことが肌起きたら、お風呂に入ると体は水を含んだり、塩をすり込むと、水分が抜けるということが起きてしまします。
皮脂の役割
「からだから逃がさない」機能として、皮脂のバリアも重要です。
健全な皮膚の表面は皮脂で覆われ、水分が逃げないように守られています。
しかし、一旦バリアが破壊されると、保持されるべき物質が角層から外に流出し、乾燥を引き起こすのです。
肌へ化粧品の成分を浸透させようと思うと、バリアを破壊する必要があります。
しかし、バリアを破壊すれば肌の大事な成分が保持できなくなり、頻回に化粧品をつけても乾燥するという悪循環を生みます。
大事なのは、正常なバリア機能を邪魔しないことなんです。
化粧品を浸透させるのではなく、バリアとなる皮脂を補強するような化粧品の使い方を意識することです。
化粧品の広告
ちまたにあふれている広告は、目を引きますが、多くは「宣伝」なんです!
肌トラブルが生じたときには、肌本来の役割を考えるようにしてください。
バリア機能をしっかり維持することができれば、肌はおのずと美しくなる力を備えています。
肌トラブルが生じたとしても、わたしたちの体内では絶えず細胞が生まれ変わっていますから、少し待っていれば新しい肌に生まれ変わるのです。
肌の細胞分裂により、分化した細胞の寿命は14日です。
つまり、肌荒れしたとしても、2週間後にはきれいな肌に生まれ変われるということなんです。
使用感
ここまでお話しすると、どんなスキンケア用品を使うべき?となると思います。
化粧水を選ぶなら、自分が使って使いやすいと感じたものを選びましょう。
体質は人それぞれ違うため、安くても、高くても自分が使いやすいと感じるならそれが正解です。
シミ
肌のくすみが気になるからと言って、ピーリングをする人がいますが、ピーリングは肌を傷つけるおそれがあります。
ピーリングとは角質を剥がす行為ですが、無理に肌の角質を剥がそうとしたり、毛穴の汚れを押し出そうとすると、肌が傷つきシミの原因となります。
細胞というものは、傷つくと修復する能力がありますが、修復する時に正しく修復する細胞と、そうでない細胞があります。
これがシミや皮膚がんの原因となるのです。
年齢とともに、細胞の修復は遅くなり、間違いも起きやすくなります。
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≪参考文献≫
化粧水の浸透「東洋経済:落合医師著書」